Avian Influenza(トリインフルエンザ)とその防疫対策と基礎知識(4)
米国では生鳥市場のコントロールが課題
OIEの文献によりますと、HPAIの防止は「家きん類と野鳥、特に水きん類との接触を避ける」 「不明の疾病が報告されている鳥を鶏群内に導入することを避ける」 「人の出入りのコントロール」 「適切な清掃と消毒手順」 「農場ごと同一日齢とする(オールインオールアウト)ことを推奨する」としています。また、突発的発生に対しては「全ての鳥の殺処分」 「死がいとすべての動物製品の処分」 「清掃と消毒」 「鶏群を再び導入まで少なくとも21日間おく」として、バイオセキュリティーによるコントロールを推奨しています。医学的予防については「過去に、ワクチンを使用したにもかかわらず、感染や悪性ウイルスの分離があったため、逆効果であると考えられていた。しかし、パキスタンとメキシコの最近の突発的発生においては不活化ワクチンが疾病の拡大に迅速に対処するために使われた」としている。これは、ワクチンは特定の亜型には有効に作用しますが、H1〜15のどの亜型が影響を及ぼすのか、あらかじめ予測する方法がなければ感染を防ぐのに実用的ではないということと、実際には亜型が確定した段階からワクチン接種をコントロールにうまく利用しているという2つの事実を表しています。
米国では、HPAIのコントロールは米国政府主導で緊急非常事態宣言が出され、移動禁止(隔離)、淘汰、および100%の損害保証金などの各種手段を用いてコントロールされます。対照的にMPAIのコントロールは米国政府ではなく、各州政府と養鶏産業界によってコントロールされます。それぞれの州ではAIをコントロールするための権限が異なっています。例えば、バージニア州では獣医師が中程度のMPAIに罹患した鶏群を損害補償なしで隔離したり、淘汰する権限を持っています。鶏群の淘汰は州政府の指導のもと会社側で実施されます。
米国においてMPAIが頻発している理由としてあげられているのはライブバードマーケット(生鳥市場)の存在です。鶏や七面鳥、アヒルなどが生きたまま同じ所に飼われ、エスニック系の人たちが主に購入しています。香港の発生でも生きた鶏を籠に入れて売っていたほか、イタリアでは庭先で鶏を飼う非常に小規模農家が疾病の撲滅を妨げました。米国当局もこれを問題視して何度もクリーニングを行なっていますが、これについては十分にコントロールできていないようです。またMPAIにおける殺処分などにかかる費用の補償は、ある産業界、ある州では行なわれていますが、大規模な感染に対しては十分でないという問題も発生しています。
また米国ではH5、H7以外の亜型については不活化ワクチンによるコントロールを実施していますが、H5、H7については禁止しています。これは不活化ワクチンを使えば抗体陽性反応が出てしまうという問題があるためですが、米国内でも議論の分かれている点です。
現在、米国におけるMPAIの発生頻度は他国に比べて多いのですが、これはAI研究の最先端が米国に占められており、適切なサーベイランスが行なわれていることが、報告数に影響していることも考慮に入れなければならないでしょう。また各州では発生を確認後、適切な措置を行ない、それをホームページなどに公表しているなど、透明性が非常に高いことも触れておく必要があります。

■ 参考文献
国際獣疫事務局 (OIE)http://www.oie.int/
農林水産省プレスリリース http://www.maff.go.jp/
農林水産省動物検疫所 http://www.maff-aqs.go.jp/
厚生労働省検疫所海外感染症Pro-MED情報 http://www.forth.go.jp/
鶏卵肉情報 (2001/7/25、11/25、12/25、2002/5/25、6/10、10/10各号)
※協力:株式会社鶏卵肉情報センター

