Avian Influenza(トリインフルエンザ)とその防疫対策と基礎知識(3)
香港人への感染は新種ウィルスだった?
HPAIの感染はまれで、突発的に発生します。最近の発生は1997、2001年に香港(H5N1)で、1999?2000年にイタリア(H7N1)で、1995年にメキシコ (H5N2)などで発生しています。またもう少し以前では1983〜84年に米国ペンシルバニア州(H5N2)で発生しているほか、日本でもかなり前だが1926年に発生しています(もちろん米国も日本も最終発生から3年間以上経過しているので、HPAI清浄国です)。また中国など、過去の発生が不明の国も多く、香港で発生した事例では中国からの高度の汚染による可能性を指摘する研究者も多い。イタリアやメキシコなどこれまでのHPAIの発生例によりますと、まず最初にMPAI(H5、H7)の汚染が確認されて、時間の経過に従って急にHPAIに変異したことが解っています。
MPAIについては、世界中でその発症が確認されています。AIウイルスは鶏だけでなく、アヒル、がちょう、七面鳥も感染するほか、野生の鳥やペットの鳥も感染します。特に水きん類(カモ、かもめ類、シギ類など)は保菌していても症状が出ないため、感染を拡大させる原因(宿主)を担っています。ウイルスは野生の鳥類の腸管内で増えて、ふんと共に放出されます。ふんからの直接感染のほか、汚染された飼料、水、設備や衣服から農場が汚染される間接的な感染があります。また、汚染した卵が孵卵機の中で破卵することで、雛を感染させる可能性も指摘されています。日本でも高病原性ではなく、ペット用に輸入したオウムからAIウイルス(H9N2)が確認されたり、研究者が海岸で捕らえた水きん類(渡り鳥等)からAIウイルスを分離するなど、防疫上のリスクがまったくないとはいえない状況です。
AIはこれまで、人間には感染しないと考えれられてきました。その常識を覆したのが1997年から1998年初めに香港で発生したHPAI(H5N1)です。最初は1997年5月に1人、幼稚園の子供が死んだことで始まりました。その後11、12月に次々と感染が拡大して、合計で18人が感染し、うち6人が死亡しました。幸い人から人への伝播はなかったため、それ以上は拡がらずにすみました。その後の調査で、当時、鶏にH5N1だけでなく何種類かのAI亜型(H9N2など)が同時に流行していたことが解っており、研究者からはウイルスの遺伝子が鶏の体の中で交互に組換えられ、人に感染する新種のあいのこウイルスが発生した可能性を指摘する発表が出されています。また中国南部は鶏・豚・人の非常に密接な接触がある地域であり、豚は人のウイルスにも鶏のウイルスにも感受性をもっていることから、複合的に豚に感染することで変異した可能性を指摘する研究者もいます。AIの人への感染は特殊な場合のみと考えられていますが、その条件や感染経路についてはまだまだ今後の研究を待たなければなりません。
世界HPAI発生の状況(2001年12月31日) 国際獣疫事務局(OIE)より作成

